こんにちは、山本です。
「ステーキ屋で人生が変わる?」
……いきなり何のこっちゃ、って感じですよね。笑
でも実はこれ、僕の人生が静かに動き出した、ひとつの大きなきっかけだったんです。
今日はその出来事について、少しだけ記しておこうと思います。
ちなみに以前、自己紹介も兼ねて、これまでの人生や価値観についてnoteにまとめました。
まだ読んでない方は、そちらもぜひ。
不思議な人だな
拓也さん(@trymaster132)は、僕がこれまで出会ったことのないタイプの人でした。
なにかとよく連絡をくれるんです。しかも、内容はいつも「最近どうですか?」と。
もちろん、会社の上司でもなければ、同僚でも後輩でもない。
ビジネス上の利害関係があるわけでもない。
でも、なぜか定期的に気にかけてくれている。
当時の僕にとっては、それがとても新鮮で、正直ちょっと警戒心もありました。
ーーある日、
そんな拓也さんから「ステーキでも食べに行こう」と誘われました。
特に断る理由もなかったので、「まぁ、いっか」と思ってご一緒することに。
でも正直、そのときの僕の心の中はこんな感じでした。
「……この人、一体なにを考えてるん? こんな何の取り柄もない若造に、わざわざ時間を使って、何の得があるんや?」
そんな警戒心と、ちょっとした好奇心が入り混じったまま、
“ステーキ3件巡り”という、人生の転機とも言える1日が始まるわけです。
1件目:ただのステーキ屋にしか見えなかった
1件目は、「ステーキ宮」というバイキング形式のお店でした。
「やったー!ステーキだ!」と、お腹ペコペコだった僕はテンション爆上がりで、夢中になって食べてたんです。
そしたら、突然――
「このお店のレイアウト、よく見ておいて。
トイレの場所、サラダバーの動線、キッチンの位置、照明の加減とかも」
……ん?
え、なに急に?って感じですよね。笑
ステーキをかきこんでる僕にとっては、完全に予想外の視点で、思わず手が止まりました。
とりあえず、「わかりました!」とだけ返事して、何も考えずにキョロキョロしながら店内を見回したり、席を立ってトイレやサラダバーの位置を確認しに行きました。
「まぁ、トイレここにあるな、サラダバーはここにあって、キッチンはここで、照明はちょっと明るいな〜、子ども多いな…」
そんな感じで、頭の中でぼそぼそと呟きながら、なんとなく店内を観察していました。
特に深い意味も分からず、「まぁとりあえず言われたからやってる」ってだけのテンションです。
でも、いつもだったらスルーしてたようなことに、ちょっとだけ意識を向けてる自分がいたんですよね。
一通り確認し終えて席に戻ると、拓也さんが、「見てきた?よし、そろそろここは引き上げて、次に行こう」
……え、次ってどういうこと?
それ以上の理由も説明もないまま、僕たちはさっさと席を立って、次の店へと向かうことになりました。
2件目:観察を通して見えてきた「違い」
車に乗り込んで、移動中。
「まぁ、2件目はアイスかなんかでしょ。サーティーワンかな♪」
なんて甘いことを考えていたんですが――
着いた先は、まさかの「フォルクス」。
え、またステーキ!?笑
さっきステーキ食べたばっかやん!って、思わず心の中で全力ツッコミ。
車を降りた瞬間に、拓也さんから一言。
「さっきのお店と同じように、観察してみて」
……というわけで、1件目と同じように店内を見回しながら、観察モード再び。
すると、不思議なことに、ちょっとずつ気づくんですよね。
「あれ、1件目よりここのサラダバー、通路が狭いな」とか、
「照明の当たり方で、料理の見え方が全然違うな」とか。
特に深く考えてるわけじゃないのに、自然といろんなことが目に入ってくる。
(これは、今の自分に何を教えてくれてるんだろう……?)
そんなことをぼんやり考えながら、席に着いたそのタイミングで、拓也さんがふと尋ねてきました。
「さっきのお店と比べてどう?」
一瞬考えてから、少し苦い顔をしながらこう答えました。
「うーん……1件目の方が良かったです。
ここはサラダバーの通路がちょっと狭くて、人とぶつかりそうやし。
さっきの店はその辺ちゃんと配慮されてて、ストレスなく楽しめた気がします。」
すると、すかさず次の問いが。
「じゃあさ、もしデートで使うならどっちがいい?」
「あ、それなら断然こっちですね。
照明も落ち着いてるし、お客さんも大人のカップルとか夫婦が多い。
静かに会話もできそうです。
逆に1件目はちょっとガヤガヤしてて、デートには使いたくない感じでした。」
そう言うと、拓也さんがニヤッと笑って、こんなことを言いました。
「……ん?今さ、もしかしてだけど、“良い”とか“悪い”とか、どっちが正解かって視点で見てない?
いや、責めてるわけじゃないよ。自然とそうなっちゃうもんだし。
でもね、その“評価軸”に乗っかっちゃうと、見えるもんも限られてくるんだよね。」
「……あ、確かに。そうです。
でも、それって、普通のことなんじゃないかなと思うんですが……」
少し戸惑いながら返すと、拓也さんは静かに頷いてこう言いました。
「そうだね。
でも、“良い・悪い”って捉え方よりも、
“どういうシーンで、どんな人にとって快適か”っていう視点で見ると、また違って見えるよ」
一瞬、言葉の意味がすぐには腹に落ちてこなかったけれど、頭の中でさっきの2店舗を思い浮かべてみると――
ああ、なるほど。
“どっちが良いか”じゃなくて、
“どっちが、誰にとって心地いいか”だったんだ。
今までの人生を振り返ってみると、僕はずっと、“良いか悪いか”でしか物事を判断してこなかった。
それは人に対しても同じで、相手の行動や言葉に、すぐ「正しい」「間違ってる」とラベルを貼っていた。
――だから、僕は人とぶつかってばかりだったんだな。と当時、思いました。
3件目:ようやくアイスと、少しの変化
ここでは、ようやく念願のアイスを食べることができました。
(なんせ、1件目と2件目は“ガチのステーキ”でしたから。笑)
でも、それ以上に自分でも驚いたのは——
席に着いたと同時に、自分から言葉が出てきたこと。
「このお店は、中高生が多いですね。価格もリーズナブルだし、金銭的にも制限のある層に人気なんですね。
こういう場所って、仲間と集まったり、記念日を祝ったり、思い出にもなりますよね。」
それを聞いた拓也さんは、少し笑ってこう言いました。
「おお〜、やりますね〜。もう“視点持ち”になってる。」
なんか恥ずかしくなって、「いやいや、なんとなくです」とか言いながら、アイスをつつきました。
でもその瞬間、心の中では、
「もしかしたら、こういうふうに世界を見られるのって、ちょっと面白いかもな」と思っていました。
価値の多面性
あの日、ステーキを3軒ハシゴしたこと自体には、たぶん何の意味もなかったのかもしれないです。
でも——
「誰にとって」「どんな場面で」「どう感じられるか」という視点を持てるようになってから、目の前の出来事や人との関係が、少しずつ違って見えるようになりました。
たとえば、かつての僕にとっては「なんでこの人、こんなこと言うんだ?」と感じていた一言が、
いまの僕には、「この人はこういう価値観で生きてるんだな」と思えるようになったり。
たぶん、物事に「絶対的な価値」なんて、そんなに多くはないと思っていて。
価値は一つじゃないし、視点が変われば見え方も変わる。
だからこそ、すぐに“良い・悪い”を決めつけずに、
「この人にとっては、どうなんだろう」
「この状況では、どういう意味があるんだろう」
と、一度立ち止まってみる。
そのたった数秒の“間”が、僕の人生の風通しを良くしてくれた気がしています。
――
あなたが最近、“良いか悪いか”で判断していたものって、なんですか?
もし、少しだけ視点を変えて見てみたくなったら――
そのときは、ぜひ一緒にステーキ屋を3件ハシゴしましょう。